le Murmure de Juma☆Jumaのつぶやき

2018年1月から青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員として、西アフリカのセネガルに来ました。日々の生活や活動を通して思ったことをつぶやきます。セネガルで過ごす日々にどんな出会いが待っているのか。楽しいこと辛いこと歯痒いこと。これからの2年を通して、自分の心がどんな風に変わっていくのか。大きな挑戦への小さな歩みを記すためのブログです。

誰のためのカルネ。

カルネはフランス語で手帳のこと。

 

ちょうど2年前の今ごろ
協力隊の募集要項から
このジョフィオールの仕事を選んだとき、

 

活動の内容の最初の項目に

 

「母子手帳の普及」

 

と書いてありました。


でもやっぱり
時の流れとともに、状況は変わるもの。

 

実際にこうしてジョフィオールに来てみると、
ほとんどのお母さんが母子手帳を持っています。

 

妊娠が分かったときに病院から手帳が配られて、産前・後検診と使用して、
その後も母子手帳を持ってこないと無料の予防接種が打てません。

 

最後の予防接種は15か月、
赤ちゃんが1歳3か月になったときです。

 

初めて予防接種に立ち会ったときは
母子手帳の記入の仕方もよく分からず、
配属先の人に教えてもらいながら
予防接種の記録をつけていました。

 

予防接種を受けたときに
次の予防接種の日付を書き込む欄があって
そこがなかなか重要です。

 

日付を間違えて予防接種にきて
1時間くらい待ったあげく、

 

「今日は打てないから来週ね」

 

と言われているお母さんたちもいます。

 

そんなとき手帳にかかれた日付を見てみると
"月"のところだけフランス語で書かれていたりします。

 

全部数字で書いてあれば、
正しい日付がわかったかもしれないな
と思ってしまいます。

 

それに加えて気がついたのは、
使われていないページの多さ。

 

使われているのは検診と予防接種のページだけ。

 

子どもの名前が記入されていない手帳も
よく見かけます。

 

セネガルでは
生まれて1週間後にゲンテ(洗礼)のお祝いがあって、そこで子どもに名前をつけます。

 

だから手帳に名前を書くのは
だいたいは最初の予防接種のとき。

 

予防接種の接種者については
国に提出する書類があるから

生後1週間たっている場合は
予防接種の際に
必ず子どもの名前を聞いています。

 

なのに、

書類には書いても手帳には書かない。

 

毎月の検診で赤ちゃんの
体重と身長を測っても
病院側の記録にしか書かない。

 

だから母子手帳の
体重と身長のページは白紙です。

 

ふと、

 

母子手帳って誰のためにあるんだろ?

 

と考えていました。


きっと答えは一つじゃなくて

 

お母さんのためであり、
子どものためであり、
そして医療を提供する人のためである。

 

でも私のいる場所では
医療を提供する人のために使われている

そんな感じがします。

 

セネガルに来る前に
母からもらった私の母子手帳には、

 

母が私を身ごもってからの状況
産まれたときの様子
検診ごとの成長の様子
予防接種の接種状況

 

など、

たくさんの情報が載っていました。

 

最初のページに挟み込んであった

 

「日本脳炎の注射、熱のため受けられず。必ず6年生で打つこと!!」

 

という古いメモをみたときは

大切に育ててくれたんだなぁ、と
ちょっとじんとしました。

 

いま、同じようにして
セネガルのお母さんが
子どもに手帳を渡すことになったら

 

子どもの名前も書いていない
成長の記録もない
空欄だらけの手帳を渡すことになります。

 

正直なところ
手帳の中身なんて気にしていないお母さんがほとんどです。

 

みんなが読み書きが出来るわけじゃないし。

 

でも
ほとんどのお母さんが、
自分の子どもの成長を気にしています。

 

ある時、
保健ポストの予防接種と身体測定を
手伝いに言ったとき

 

紙切れに書かれた体重と身長を見せて

 

「うちの子はどう?健康に育ってる?」

 

と聞いてきたお母さんがいました。

 

その紙切れの数字は
保健ポストの記録表に転記されるだけで
母子手帳に書かれることはありません。

 

でもこのお母さんは
私の母と同じように
子どもの成長を気にかけています。

 

だから
その体重と身長を母子手帳に書くことにしました。

 

小さすぎて「活動」と呼べるようなものじゃないかもしれないけど、

お母さんたちの気持ちが
手帳の中に少しでも多く残るようにしたいなと思っています。
 
セネガルにいると、

 

「何のため」「誰のため」 

 

そんな風に考える機会が多いような気がします。

 

よくも悪くも。

 

気がつけば10か月が経とうとしている
セネガルでの日々。

 

私は

何のため、誰のために 

この10か月を過ごして、

 

何のため、誰のために

残りの1年2か月を過ごしていくのかな。

 


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📷紙切れから母子手帳に書き写した数字をみながら、看護師隊員と一緒に作成した成長曲線グラフを使って、お母さんたちに直接「あなたの子どもは今このゾーンだよ」と説明しています。